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さぬき麺業のこだわり

こだわりの製法

手打ちうどんは、まず、小麦粉に塩水を加えてよく混ぜて足踏みをします。次に玉を作り、均一の厚さにのばして重ね、熟成をさせます。熟成後に再び足踏みをして、のばして包丁で切ってできあがり。うどんは生きもの。作る人の気持ちが伝わって、おいしいうどんができるのです。
それは工場で製造するうどんも同じです。
当社が目指すうどんに最も適した「材料」と「製法」、長年の「技」と「データ」、そして作る人の「うどん魂」がかけ合わされて、さぬき麺業のうどんが生まれています。

足踏み

さぬき麺業は、工場で製造するすべてのうどんで足踏みを行っています。
足踏みは、うどんの粘りとコシに欠かせない工程です。
ムラが出ないように、生地の隅々までリズムよく踏んでいきます。
足踏みの代わりに圧延機でのばすと、無理な力が加わり生地が固くなってしまいます。すると、ゆで時間も長くかかり、ソフトで弾力のあるうどんになりません。人の体重で足踏みするくらいの適度な力が、ちょうどよい粘りとコシを生み出すのです。
気温、湿度で変えている加水率や塩の量を足で感じとり、「もう少し踏もうかな」「もういい具合かな」と、うどんと対話しながら足踏みをしています。

包丁切り

当社の半生うどんは包丁切りをしています。
生地に対して包丁の刃が垂直に当たるために、無理をせずに切れて生地を傷めません。断面が四角い、いわゆる「角が立つ」うどんになります。
断面が四角い麺は、ゆでる時の表面と真ん中の熱の伝わり度合いが違います。まわりはふわっと柔らかくなりますが、真ん中には芯が残ります。
これが食べると最初はふわっと歯が入り、最後にモチモチした歯ごたえが残る、さぬきうどん独特の食感を生んでいます。

角が立った四角い切り口のうどん
四角の麺はゆでる時の熱の伝わり方が違う
外側ほどよく膨らみ麺の角が立つ

寒造り

1月、2月の気温が低い時期に作るうどんを「寒造り(かんづくり)」と言います。冬はうどん作りに最も適した季節で、夏よりも生地に水を多く加えることができます。加水が多いと、麺に光沢が出るとともに、よりモチモチした食感が生まれる効果があります。
当社では、つゆの絡みがよい細めの乾燥麺で提供しています。

うまさの秘密

香川県産小麦「さぬきの夢」

「さぬきの夢」は、香川県がさぬきうどん専用に開発した小麦です。
当社は「さぬきの夢」を100%を使用したうどん作りにこだわり、贈答用・お土産用・ご家庭用として提供しています。

さぬきの夢の特徴

香り: 昔なつかしい小麦の香り
食感: ふんわりとした中にも、モチモチ感とコシのある独特の食感ツヤツヤとして喉ごしがよい
色: 生の麺は淡い黄色く、ゆでると白さが際立つ
味: 小麦の甘みと風味が豊か

当社の3代目・香川政明は、「香川県産小麦でうどん作りたい」と長年願っていました。
古くから香川県は良質な小麦の産地で、昭和30年代までは地元産の小麦でうどんを作っていました。ところが、1962~1963年(昭和37~38年)は長雨が原因で不作が続きます。そこで急きょオーストラリア産小麦を輸入したところ、想像以上にうどん作りに適していて、日本中のうどん市場を席巻してしまいました。
オーストラリア産小麦の最大の弱点は、香りがないこと。子どものころ、祖父のうどん店から漂っていた湯気の香りが忘れられない政明は、香りがないことに物足りなさを感じていました。
「さぬきの夢」に出会ったとき、「子どものころのうどんと似ている」と直感。
それが当社が「さぬきの夢」にこだわる理由です。
地元・香川県の小麦で、ふるさとのうどんの味を守り続けていきたいと考えています。

さぬきの夢こだわり店 認定店

「さぬき麺業いしうす庵レインボー店」は、「さぬきの夢こだわり店」に認定されています。
さぬきの夢100%のうどんを提供するお店のうち、「麺」「だし」「サービス」の3つの厳しい審査基準をクリアしたお店を、かがわ農産物流通消費者推進協議会が「さぬきうどん業界の3つ星レストラン」として認定しています。
香川県内の数あるうどん店のうち、認定されているのは当店を含め7店舗だけです。

さぬきの夢のうどん作りの苦労

オーストラリア産小麦に負けない品質を誇る「さぬきの夢」ですが、うどん作りにおいては苦労の連続でした。
挽くときには皮と実が離れにくく、粘り気がある粉が製粉機にこびりついてしまうという問題が発生。また、オーストラリア産小麦に比べて、たんぱく質の含有量が低いために、麺が切れやすく、熟成しすぎるとだれやすいという性質がありました。そのために、機械化が進んだ多くのうどん店では「さぬきの夢」をうまく扱えなかったのです。

3代目・香川政明は、昔ながらの伝統製法で生地の性質を肌で感じ取りながら、「さぬきの夢」のうどんを作り上げました。
お客さまからは「昔なつかしいうどんの香りがする」との声をいただいています。

だしの味を決める「伊吹いりこ」(煮干し)

当社のだしには、香川県伊吹島産のいりこを使用しています。
伊吹島は瀬戸内海の真ん中ほどにあります。東西を半島と島々に囲まれているために海が穏やかで、泳ぐ力が弱いカタクチイワシがたくさん集まります。
獲れたカタクチイワシは、すぐに伊吹島に運ばれ加工されます。漁獲からわずか30分で煮沸をする一貫生産が特徴で、「伊吹いりこ」というブランド名で知られています。
この「伊吹いりこ」をメインに、カツオ、サバ、ウルメ、昆布、シイタケをブレンドしています。
直径1.5mの大きな釜を使いたっぷりの湯で、風味豊かなだしを取っています。

※イリコとは、カタクチイワシを煮沸し乾燥させた煮干しのこと

瀬戸内産の塩

当社は、瀬戸内産の塩を使用しています。
うどん作りには塩が重要な役目を果たしています。塩は、小麦粉のたんぱく質を分解する酵素の働きを弱めて、グルテンを引き締め、生地がだれるのを防ぎます。
昔から雨の少ない瀬戸内地方は塩の生産が盛んで、昭和40年ごろまでは塩田が広がっていました。この良質で豊富な塩がさぬきうどんを生み出したとも言えます。
海水には塩類が3.5%(塩化ナトリウム・マグネシウム・カリウム・カルシウムなど)が含まれています。そのうち、塩化ナトリウムを除いたものを「にがり」と呼んでいます。
「にがり」は塩辛さだけでなく、苦味や渋みを感じさせてくれる味覚に重要な成分です。
海水から精製した天然塩がおいしいと言われるのは「にがり」成分のためで、うどんにも天然塩が使われてきました。

さぬきうどん作りには「土三、寒六、常五杯」という口伝があります。
土用のころは塩1に対して水3、寒のころは塩1に対して水6、春と秋は塩1に対して水5の割合の塩水を小麦に混ぜていました。重さではなく、升で量って加減を決める方法でした。
同じ塩でも、昔の塩と現在の塩は水分の含有量が違うため、現在は口伝と少し比重を変えています。しかし、季節によって塩加減を調整することは、現在のうどん作りにも引き継がれています。